今回から数回に分けて外国人が日本で在留資格「経営・管理」を取得するための解説をしていきます。

外国人の方が「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの身分に関する在留資格を取得している場合には、日本人と同じように規制はありません。この記事は、外国に住んでいる外国人、「技術・人文知識・国際業務」などの他の就労のための在留資格や、「留学」「家族滞在」などの就労不可の在留資格を持っている方が「経営・管理」の在留資格を申請するための説明です。

第1回目は、大まかな流れを俯瞰できるように全体の流れを解説します。

※「経営・管理」の在留資格には大きく分けて、起業・開業して経営者として事業を開始する方法と、既存の会社の取締役などに就任して「経営・管理」の在留資格を取得する方法があります。このシリーズは、前者の場合の説明をしていきます。既存の会社の取締役などに就任して「経営・管理」を取得する場合の解説は別の機会にいたします。

外国人が「経営・管理」の在留資格を取得するまでの流れ

何をやるか決める

当たり前ですが、「経営・管理」の資格を取得するためには何か事業をする目的で起業しなければなりません。どんな事業を開始するかをまず決めましょう。

以下は、一般的な事業の例です。

  • 飲食店の経営
  • 自動車などの貿易業務を行う会社の経営
  • 食料品販売店の経営
  • ネールサロンの経営

等いろいろとありますので、自分で何をやりたいか決めましょう。

ただし、その際以下のことを考慮しておきましょう。

  • 開業のためにどのくらいお金の用意ができるか
  • あなたが始めようとする事業は、将来的に伸びていく業界なのか
  • 事業の採算はどうなのか
  • 従業員の確保はできるのか
  • 宣伝、広告などを使ってあなたの店や会社を知ってもらうためにどうしたらよいか

なかには、『「経営・管理」の在留資格を取りたいので、何をやったらいいか考えてください。』なんていう外国人がいますが論外です。自分の頭で考えましょう。

会社を設立するか個人事業にするか決める

事業をするには、大きく分けて会社を設立して始めるか個人事業で始めるか2つの方法があります。

入管では、「経営・管理」の在留資格を取得するためには、①常勤職員2名以上の確保 又は、②500万円以上の出資が必要になります。

500万円以上の出資をする場合、会社の場合には資本金として500万円を出資すればよいことになります。

それに対して、個人事業の場合には、入管に申請する時点で500万円を何かにすでに投資していることが要件になります。わかりやすく言うと、入管に書類を提出る時点で500万円を使い切ってその領収書を提出します。

以上のことを考慮すると、会社を設立して「経営・管理」を申請したほうが簡単で安全な方法です。

このシリーズでは、会社を設立して「経営・管理」の在留資格を取得する方法を中心に説明します。

他人が作った会社を引き継ぐ場合は気を付けて

自分で会社を作るのが大変なので、他の人が作った会社を買い取って始めようとする外国人がいます。結論から言うと入管の許可がもらえないわけではないのですが、なぜ会社を譲ってもらったのか入管に対して説明が必要になります。また、もし前社長が会社名義で借金をしていたら、その会社は最初から借金を背負うこととなりますので注意が必要です。よほどのことがない限りは、「経営・管理」の在留資格を取得する場合には、会社を譲渡して始めることは避けましょう。

会社を設立する

会社を設立します。そのために、資本金を積み立てたり定款を作成したり、登記したりする必要があります。

事務所を借りる

事務所を借ります。この時、店舗と事務所の違いや自宅を事務所にできるかなどについて説明します。

会社設立後の手続

会社の登記が完了して、登記簿が出来上がりましたら各種の手続が必要になります。税務署に開業業届を出したり、年金事務所に年金や健康保険の手続をしたりする必要があります。

事業計画書の作成

入管に提出するために、会社の事業をどうやって経営していくかといった事業計画書を作成します。どのような商品やサービスをどこから仕入れをして誰に売るのか、どのくらいの売上を立て、どのくらいの利益を得るのか、経費がどのくらいかかるのかなどの計画を立てます。

入管に申請する

その他、必要な書類を準備して入管に申請します。他の在留資格に比べると審査期間は長いようですのでできるだけ早めに申請することをお勧めします。

大きな流れは、以上のような流れですが、「経営・管理」の在留資格の申請はいろいろと難しいことが多く、自分で全部やろうと思えば不可能だはありませんが、行政書士、司法書士、税理士、社会保険労務士などの専門家に依頼したほうがスムーズに運ぶことが多いです。

※当事務所では他士業とタイアップして、これらの一連の事務処理をワンストップでお受けすることができます。