今までは、主に就労系の在留資格をみてきましたが、この記事では身分系の在留資格について触れたいと思います。

アオザイを着る女性

 

永住者

名前の通り、日本で永住権を獲得できる在留資格です。この資格を取得すると、在留資格更新手続きが不要になります。また、職業についても自由に選択することができます。例えば今まで、「技術・人文知識・国際業務」で在留していた方が、自分で会社を設立して経営するには、在留資格を「経営・管理」に変更する必要があります。しかし「永住者」の資格を取得すれば、変更の必要はありません。

また、家を建てるときに住宅ローンを借りるときなどは、銀行は「永住権」を持っていないとなかなか貸してもらえないようです。

「永住者」という在留資格は、海外にいて日本に来た時から取得することはできません。居住要件などの要件をクリアしないと取得することはできません。

 

 

 

 

 

 

永住者と帰化の違い

永住者と日本人に帰化するということは、表面的には同じように見えて実際にはいくつか違いがあります。

まず、帰化した場合は、「日本人」になります。日本人になるとともに母国の国籍は喪失します。「選挙権」が与えられたり「戸籍」が作成されたりします。ただし、母国に帰るとき日本人がビザが必要なときは、取得する必要があります。ですから、母国に家族がいる場合には帰化はあまりお勧めしません。

永住者の場合は、選挙権がありません。外国籍のままなので「選挙権」や「戸籍」はありません。また、パスポートの期限や在留カードの携帯などが義務付けられます。そのほか職業上や生活上外国人として扱われるので、日本人と違った面倒な手続きが色々とあると思います。ただし、母国の国籍は捨てていませんので、いつでも母国に帰ることは自由です。

永住許可の要件

引き続き日本に10年以上住んでいること

高度人材などの一部の資格を除いて、10年以上日本に住んでいることがまず第一の要件になります。「日本に住んでいる」ということは、1年のうち半分以上海外に行っていたり、3か月以上日本から離れていると、その時点でリセットされてしまいますのでご注意ください。また、「10年」というのも厳格にみているようで、9年11か月で申請しても却下されてしまいます。

日本人の配偶者と永住者の配偶者については、結婚して3年以上経過し、1年以上日本に住んでいれば申請資格ができます。

現在の滞在期限が3年以上であること

1年の在留期限しか持っていない人は、残念ながら永住を取得することはできません。

安定した収入があること

本人の年収、もしくは配偶者の年収又は配偶者と本人の年収が最低でも300万円以上は必要になります。これは、提出するときに税務署などから書類を取り寄せますので入管ではすぐに確認できます。

お金

 

 

 

 

 

素行要件

日本でまじめに生活しているかどうかを判断されます。まず、税金を払っていて滞納がないか。国民年金・厚生年金などの年金に加入しているか。そして、犯罪や交通違反などの前歴がないかを確認されます。交通違反については、軽いものなら大丈夫ですが、人身事故や軽い違反でも多くの回数の違反があれば難しくなります。

 

 

 

 

 

日本人の配偶者等

日本人の配偶者、つまり外国人で日本人を夫か妻に持つ人がまず該当します。

次に日本人の親に特別養子として入籍した外国人の子供。特別養子とは、民法に定められていますが、原則6歳未満の子供(つまり5歳以下の子供)で、普通養子と違ういくつかの条件があります。

それと、「日本人の子として出生したもの」です。日本人の子供は日本国籍を持つことができるのでは?と思われる方がいると思いますが、いろいろなケースが考えられます。例えば、日本人の男性が海外滞在中に未婚女性との間にできた子供で、認知している場合を想定してみてください。その子が日本に行って働きたいと思っても、必ずしも日本に永住したいと考える人ばかりではありません。そのほか色々はケースが考えられます。

永住者の配偶者等

まずは「永住者」の配偶者が該当します。例えば、夫が「技術・人文知識・国際業務」で日本に在留していて、奥さんは「家族滞在」の資格で日本に在留していたとします。奥さんは、週28時間の「資格外活動許可」を取ってパートなどはできますが、それ以上に働くことはできません。夫が、永住の資格要件を満たして「永住者」の資格を取得することができれば、それと同時に奥さんは「永住者の配偶者等」の在留資格を取得して、正規雇用の職業に就くこともできます。

そして、「永住者の子として日本で生まれ引き続き日本に在留していたもの」です。つまり、永住者の子供でそのまま日本に住んでいれば「永住者の配偶者等」の資格は取得できます。

定住者

これについては、少し難しくなりますので詳しくは別の記事に書きますが、大きく分けて「定住者告示」という法務省で出している告示の類型の当てはまる「告示定住」と、「定住者告示」に当てはまらない「告示外定住」に分かれます。

とても大雑把な言い方をすると、「告示定住」とは、ブラジルにいる日系3世やその配偶者などが該当します。そして、「告示外定住」者とは、基本的には在留資格は認められないのだが、人道上の観点から在留を認められる資格です。

身分系の資格の特徴

これらの資格を取得すると、就業制限はなくなります就労時間も職種も制限はなくなります。(もちろん法に触れるような仕事はいけません。国外退去処分などの原因になります。)

ただし、その身分がなくなると資格の喪失が考えられます。例えば、在留資格「永住者の配偶者等」を持っていた人が離婚をすると別の資格に切り替えない限り日本に在留し続けることはできません。

気を付けなければならないのは、在留期限がまだあるからと言って、離婚後もその資格で在留し続けて、更新期限が切れるときに「在留資格更新申請」を出しても認めてもらえないケースがあるのでご注意ください。