「家族滞在」の在留資格

先日、「家族滞在」の在留資格で日本に在留しているAさんが事務所にいらして、何とかフルタイムで仕事ができないかとのご相談を受けた。聞くと、Aさんの奥さんは「技術・人文知識・国際業務」で日本に在留していて、Aさんは奥さんの在留資格に紐づいている「家族滞在」で日本に在留しているとのこと。よって、1週間に28時間しか仕事ができないために、アルバイトしかできない状況にありました。

まあ、働いている夫の奥さんが「家族滞在」の状況が多いとは思いますが、単に逆転している状況で決して珍しい話ではありません。ところがよく話を聞くと、祖国で短期大学を卒業しているとのこと。それなら、仕事さえあれば「技術・人文知識・国際業務」に在留資格を変更できることを告げて、仕事が見つかれば在留資格変更許可申請をしてあげるので、「まず、仕事を見つけてきてください。」と話し、ハローワークやインターネットでの求職の仕方などを教えてあげました。

その後、何度か連絡をもらいましたが、そのたびに探してくる仕事がいわゆる単純労働に近い仕事で、「技術・人文知識・国際業務」には該当しない仕事ばかり見つけてきます。なんで、仕事が見つからないの?と聞くと、求職のために電話をすると、以下のような会話で終わってしまうとのことです。

A 「もしもし、求人の案内を見て電話をしているんですが」

会社「外国人の方ですか?」

A 「ハイ、そうです。」

会社「在留資格はなんですか?」

A 「家族滞在です。」

会社「うちでは、家族滞在の在留資格の方は採用しておりません。」

終了

うまく説明できない。もっとも、採用する会社の方も入管法なんてものはよく知らないから、それで終わってしまっている。

悲しい状況です。

いざ、ハローワークへ

あまりに、この状況を見かねたので、ここは日本人のおもてなしの気持ちを込めて、千葉のハローワークに同行することとなりました。状況を職員に説明して、「技術・人文知識・国際業務」に変更で来る仕事を探してもらおうと考えたからです。

ハローワークにて

私 「実は、A君は今「家族滞在」の資格しかないのですか、仕事さえあれば「技術・人文知識・国際業務」に変更が可能だと思いますので、通訳や貿易の仕事はないですか?」

職員「Aさんは、現在の資格が「家族滞在」であれば、28時間以内の仕事しか紹介できません。」

私 「いや、仕事さえあれば変更可能なんです。」

職員「いいえ、ハローワークとしてはあくまでも現在の在留資格でしか仕事は探せません。」

これでは、入管は仕事がなければ在留資格の変更はできないし、ハローワークでは在留資格の変更ができなければフルタイムの仕事を探すことはできないと言ってることになり、いつまでたってもAさんはアルバイトしかできない状態が続いてしまいます。

東京外国人雇用サービスセンター

文句を言いましたが、全然自分の頭で考えようとせず、この職員と話していても埒が明かないので、新宿にある「東京外国人雇用サービスセンター」というところに電話をしてみました。よかったらおいでくださいとのことだったので、私も乗りかけた船なので、その足で二人で新宿まで行ってきました。

そこで、千葉のハローワークでのことを話すと、

「ハローワークでは、事情が分からないので、その程度の対応しかしてないんです。ここでは、そんなことはありませんよ。」

おいおい、組織上どうなっているのかわからないけど、よく指導しておいてほしい。普通の外国人なら、ハローワークへ行ってあきらめてしまうでしょう。

ともかく、無事Aさんは求職の登録することができそうです。

日本のお・も・て・な・し

日本に在留している外国人に対しての、心配りがこれでいいのか不思議に感じています。東京入管に行けが、外国人はへたな国立病院より長い時間待たされます。確かに、外国人が増え続けていることも確かだし、入管の職員の方も相当忙しいようですが、国としてもっと細かい気遣いをしてあげなければ、優秀な外国人は日本から去って行ってしまうと思います。日本のおもてなしの心はどこか行ってしまっているような気がしますが・・・。