今や、外国人観光客、外国人労働者などたくさんの外国人が日本います。街で外国人を見かけない日はありません。
外国人女性の日本観光風景

それでは、彼らはどういう手続を経て日本にやってきているのでしょうか。ここでは、その流れをみていきましょう。

簡単に書くと以下の手順で外国人が日本に来ることになります。

  1. 外国人が自分の国でパスポートを取得する。
  2. 日本の入国管理局に在留資格認定証明交付申請を行う。(通常は日本にいる代理人が日本で申請する。)
  3. 在留資格認定証明書が交付されたら、外国にいる本人に送る。
  4. 在留資格認定証明書を取得した外国人は、その国にある日本領事館などに行きビザの申請をしてビザを発給してもらう。
  5. ビザを取得した外国人は、日本に来て飛行場などで「上陸審査」を受け、晴れて日本にやってきます。

パスポート(旅券)を取得する

海外旅行に行った経験がある人なら、ご存知でしょうが、海外に行くためにはパスポートを取得する必要があります。

ビザ君ビザ君

僕もハワイに旅行に行ったときパスポートを持って行ったけど、パスポートってどういう意味があるの?

先生先生

パスポートは、日本語で言うと「旅券」といって海外に旅行するときに、その人の国の政府が、その人のことを証明している証明書のようなもなだよ。昔でいうと、「通行手形」のような感じかな。

ビザ君ビザ君

外国人が日本に来るためにはパスポートが必要なの?

先生先生

そう、外国人が日本に来るためには、たとえちょっとしたことでもパスポートを持っていないと入国できないんだ。

パスポートを持つ外国人女性

外国人

ここまで、「外国人」という言葉を何度も使っていますが、「外国人」とはどういう人のことを言うのかご存知でしょうか?

外国人とは、日本の国籍を持っていない人のことを言います。

たとえば、日本人の両親から生れて日本で育ち、日本語も堪能な人が、日本の国籍を離れ外国の国籍を取得した人は、外国人です。

逆に、海外で外国人の両親から生まれ、その後、何らかの理由で日本に来て帰化(日本人になること)すると、その人は日本人になりますので日本にいるときはパスポートを所持する必要がありません。

ご存知でしょうか?大相撲の中継などで、ちょっと前まで「日本出身の力士の優勝は〇〇年ぶりです。」とテレビなどでいっていました。なんで、そんなややこしい方をするんだろうと思った人いませんか?「日本人の力士の優勝は〇〇年ぶりです。」と言えばいいのに、と考えるのが普通ですよね。

大相撲

それは、今は引退した旭天鵬という、モンゴル出身の力士が2012年(平成24年)に優勝しているから、そういう言い方になっています。彼は、優勝したときには、帰化して既に日本人になっていました。つまり、日本人力士が優勝したことになっているんです。

ビザ君ビザ君

へ~。今まで、なんとなく日本語をしゃべらない人や、肌の色の違う人を外国人と思っていらけど「外国人」を定義するとそうなるんだね。

先生先生

それでは、もうひとつ「国籍」についても解説してみよう。

国籍

その人の”籍”(日本でいうと「戸籍」)がある国を、「国籍」といいます。

日本では、二重国籍を認めていません。ですから、日本人が外国籍を取得すると日本の国籍を失うことになります。また、同じように外国人が日本国籍を取得するときは、その母国の国籍を離れないと日本国籍を取得できないのが原則です。

カンボジア代表としてオリンピックのマラソン協議に出場した「猫ひろし」は、オリンピックに出場する前に「カンボジア」の国籍を取得しました。つまり、その時点で日本国籍は失っていることになります。

今でも彼は、日本国籍に戻すことなく、カンボジア国籍のまま、日本で芸能活動をしているようです。

ビザ君ビザ君

日本人の国籍を取るのって難しいの?

先生先生

日本の国籍を取ることを「帰化」と言って、かなり色々な要件が必要になってくるんだ。これはまた、違う回でゆっくり説明するよ。ちなみに、先程話した「大相撲」では、親方になるための「年寄」になるためには、「日本人」になる必要があります。

先生先生

今の時点で白鵬はまだ日本国籍は取得していませんので、今のままでは親方になって後進の指導をしていくことはできません。今後どうするかは注目です。

未承認国の人のパスポート

日本政府が承認していない北朝鮮などの国のパスポートは、日本では旅券としては認められません。そういう国の人が日本に来るためには、最寄りの国の日本領事館で「渡航証明書」を取得します。

外国人が日本でパスポートを紛失したら

パスポートを紛失した場合は、少し面倒です。

まず、警察署に行き「紛失届」を提出し「紛失届証明書」をもらてください。

それをもって、日本にある自国の領事館、大使館に行き再発行をしてもらいます。

その後、そのパスポートを持って、地方入国管理局に行き、在留資格や在留期間などの記載をしてもらいます。

お役所に3つも行かなければなりません。だから、絶対になくさないようにしてください。

パスポートの期限

パスポートには、国によって違いますが必ず期限があります。その期限を経過してしまうと、そのパスポートは無効になってしまいますので注意しましょう。

ビザ君ビザ君

日本にずっといる外国人が、パスポートの更新をするのにはどうしたらいいの?

先生先生

それは、日本にあるその人の国の領事館に行って、期限の更新手続きを取るんだ。だから、後で話す日本での「在留期限」と「パスポートの有効期限」は別なので注意が必要だよ。

在留資格認定証明書

さて、いよいよここからがこの記事の本番になります。在留資格認定証明書について、なるべくわかりやすく説明していきます。

在留資格認定証明書
在留資格認定証明書

在留資格

外国人が日本に来るためには、何らかの目的が必要です。たとえば、仕事をするため、旅行をするため、日本にいる親戚の人に会いに来るなどの目的です。人によっては、日本人と結婚して家庭生活を日本で送るために、日本に来る方もいます。

そういった「目的」別に27種類(もうすぐ「介護」の増えるので28種類になります。)に分けて、日本での在留資格を決めています。ちなみに、現在ある在留資格は、以下の通りです。(ここでは、詳しい説明はしませんがなんとなく在留資格の種類だけでも見ておいてください。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計事務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 興業
  • 技能
  • 技能実習
  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在
  • 特定活動
  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

いかがでしょうか?中には言葉を聞いただけで、だいたい想像できる資格もあったと思います。例えが「留学」の資格は、日本に来て学校に通うんだろうなとか、「宗教」の資格は日本に来て布教活動のようなものをするのかな?と今はその程度の理解で結構です。

ビザ君ビザ君

日本に来るためには、必ずどれかの在留資格を取得していないと来れないんですね。

先生先生

そうです、かならずどれかの資格を取得しないと日本に来れません。

ビザ君ビザ君

それでは、日本に来ている学生さんが日本人と結婚して、「留学」と「日本人の配偶者等」の両方の資格がある場合は、どう考えればいいのですか?

先生先生

在留資格は一人一資格しか与えられません。ですからその場合は、どちらかの在留資格を選択することになります。

在留資格認定証明書とは

「在留資格認定証明書」とは、新たに日本に来たい外国人が、以上のような在留資格に当てはまりますということを法務大臣が認めてくれたことの証明書です。

ビザ君ビザ君

すべての在留資格を取得するために「在留資格認定証明書」を取得しなければならないんですか?

先生先生

いや、「短期滞在」の資格は「在留資格認定証明書」は不要だよ。だから、旅行などの短期の滞在の場合には必要はないよ。それと、「永住」は、そもそも日本に住んでいないと取れない資格だから、「在留資格認定証明書」の交付はないよ。

ビザ君ビザ君

「在留資格認定証明書を取得するには、どこへいけばいいんですか?

先生先生

日本にある「地方入国管理局」に必要な書類を提出するんだ。

ビザ君ビザ君

それでは、外国にいる人が「在留資格認定証明書」を取得するためには、どうしたらいいんですか?

先生先生

通常は、日本にいる知人などを通して、行政書士に依頼して取ってもらうケースが多いね。

在留資格認定証明書とビザ

通常「在留資格認定証明書」を取得することを、「ビザを取得する」と言い、「在留資格」更新をすることを「ビザを更新する」と言っていることが一般的です。実はこれは厳密にいうと全く間違った使い方で、ビザとはこの後出てきますが、外国にある日本領事館で取得する「査証」と呼ばれるもので「在留資格」とは全く違います。

外国の人にあまり細かい話をしても、ややこしいのでわらわれもあまり細かく説明しませんが、在留資格の認定は法務省の管轄であり、ビザの発給は外務省の管轄です。

世間一般では、在留資格のことをビザと呼ばれているので、あえてこのホームページでも「在留資格」のことを「ビザ」と呼びますのでご了解ください。

在留資格認定証明書を取得するには

在留資格認定証明書の交付を受けるには、地方入国管理局(以下「入管」と略します。)に書類を提出して審査を受けなければなりません。

たとえば、国際結婚をして「日本人の配偶者等」という在留資格を取得するためには、当然戸籍を提出して証明する必要がありますが、それだけでは入管は認めてくれません。何故なら、戸籍上入籍するだけの偽装結婚を装い日本に来る外国人がいるからです。

そのためには、どこで知り合って、どういう付き合いをして、どういうとこにデートにいったのかなど色々確認されます。また、二人はどういう言葉で会話をしているのか、日本と外国で離れて暮らしているときはどういう通信手段でコミュニケーションをとっているのかなど確認されます。

このために、(簡単にいうと「偽装結婚」だと疑われないために、二人のデートの時の写真や、相手先の家に行って両親と撮った写真などを証拠として提出したりします。

ビザ君ビザ君

入管に提出する書類は決まっているの?

先生先生

決まっている書類と、明記をしていないが疑われないように任意で提出する書類の二通りがあるよ。中には、どうしてこういう申請を出したかよくわかるように「理由書」とよばれる書類を提出することもあるんだ。

ビザ君ビザ君

難しいんだね。

先生先生

やはり、何の書類を提出したらいいかは専門家の意見を聞いた方が良いかもしれないね。また、それぞれの必要書類は、そぞれの在留資格の回で詳しく説明します。

先生先生

今回はここまで、次回はビザ(査証)の取得から、いよいよ日本への入国迄の話をしていきます。