外国人に来日して日本の伝統的な武術や技芸を習得してもらうためには

例えば、日本の伝統的な武術(空手・柔道・剣道・合気道など)や技芸(茶道・生け花・陶芸・日本建築・日本画・日本舞踊・邦楽など)を習得するためのビザがあります。「文化活動」というビザです。

在留資格「文化活動」とは

入管法には「文化活動」とは、「収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを習得する活動」ということが書かれています。

分解して整理すると、

  1. 収入を伴わない学術上の活動
  2. 収入を伴わない芸術上の活動
  3. 我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行う活動
  4. 我が国特有の文化若しくは技芸について専門家の指導を受けてこれを習得する活動

という4つにわけることができます。

1と2については「我が国特有の文化若しくは技芸について」という文言がありませんので、全ての活動に当てはまります。そして、今回取り上げるのは3と4についてご説明します。

3は「専門的な研究」ということになっていますので、誰でもというわけにはいきません。母国の大学や研究機関もしくは民間の団体などでそれなりの功績のある人が日本に来て研究を専門性をもってする活動です。

今回ご説明するのは、主に4の「我が国特有の文化若しくは技芸について専門家の指導を受けてこれを習得する活動」についてご説明いたします。

外国人に道場や教室で日本の伝統的な武術や技芸を習うには

もしも、外国人があなたの道場や教室で1日体験コースや数日間のお試し的な体験をしてもらうならビザは「短期滞在」という資格で来日してもらえば可能です。また、欧米の国等からは短期であれば、(国ごとに期間が違います。)ビザなしで来日することが可能です。

3カ月を超えて、習い事などを習得するために道場や教室などに通うためには「文化活動」のビザが必要です。

日本側で用意すること

日本の道場や教室などを主催する機関の方は、以下のような書類を作成いたします。

外国人が日本に来てどういう活動をするか計画を立案する。

例えば、1年間柔道などの武術を習得するために外国から日本によぶためには、1年間のスケジュール・1週間のスケジュール・1日のスケジュールといった具合にスケジュールを作成します。来日する外国人が、目的の活動だけでなくても大丈夫です。

例えば、上記の例でいえば月曜日から金曜日の午前中は柔道の稽古をして、午後は週2日は日本語の勉強を教える時間に充てる。それ以外にも、週1日寺に行き禅の修行をするなどのスケジュールを作成します。もちろん、毎日朝から夜まで稽古でも構いません。

日本に呼び寄せる機関または個人の業績や経歴を説明する資料

日本に呼び寄せ、習い事を習得する道場や教室などの経歴や現状の活動又は表彰を受けたりコンテストなどに入賞した経歴がある先生などが教える場合には、それを証明する資料を提出します。

その他の資料

あなたの機関のパンフレットやホームページを印刷した書類なども大事な資料になります。また、新聞や雑誌などに取り上げられたことがある場合にはそれも資料として提出します。また、法人の場合には登記簿も説明資料の一部になります。

外国人の側で用意してもらう資料

履歴書・経歴書

ご本人の学歴・職歴に加え日本に来て習得しようとしているものについて今まで学んできた経験や、大会やコンテストなどでの入賞経験があれば記入し、証拠として賞状などのコピーや新聞記事などを添付します。

推薦状など

現在、母国で習い事をしたり、道場などに通っているのであれば母国で習っている先生や機関などからの推薦状があると有利です。ただし、英語以外は翻訳を添付いたします。

経費支弁能力を証明する書類

日本に滞在中の経費はどうやって支弁しますか?もし、本人や外国にいる親などがし弁ずる場合には銀行の残高証明書が必要です。また、奨学金などの支給を受ける予定の方は、それに関する書類が必要です。日本にいる方が支弁する場合には日本にいる方の「住民税の課税証明書」と「納税証明書」を提出します。

手続きの流れ

当事務所にご依頼をいただいた時の流れをご説明いたします。

初回相談(無料にて承ります。)

まずは、ご連絡をいただき、現在計画されていることをご相談ください。ビザの発給の可能性を確認して、どのように書類を作成するかなどご回答させていただきます。

見積もり

内容に応じた金額の提示をあらかじめさせていただきます。ご了解いただければ、早速業務に取り掛かります。

調査

日本で招聘する道場や教室などの内容を確認いたします。ご相談により、お客様といっしょにスケジュールなどの作成をお手伝いいたします。

外国からの必要書類の取り寄せ

外国から送っていただく書類を提示いたしますので、現地とご連絡の上日本に送付もしくは電子メールなどにより取り寄せてください。

書類作成

必要書類がすべて整いましたら書類作成に取り掛かります。

入国管理局提出

書類の作成がすべて終わりましたら、お預かりした資料とともに入国管理局に提出し、「在留資格認定証明書」の申請をします。

認定証明書発行

「在留資格認定証明書」が発行されましたら、お客様にお渡しいたします。現地に送っていただき現地の日本大使館等で所定の手続きをして、ビザの発行を受けます。

来日

ビザを取得した外国人は、ビザの押してあるパスポートと認定書をもって日本の入国審査を受け来日します。

Q&A

Q. 日本で来た後の住まいなどはどのようにすればよいですか?

A. あらかじめ住む場所は決まっていた方が良いと思われます。どうしても決められない場合には、アパートなどの契約が決まるまで宿泊する場所の確保をしておいてください。

Q. 日本に来てからアルバイトはできますか?

A. 「文化活動」の資格では収入を伴う仕事をすることはできません。ただし来日後「資格外活動許可」という許可を取得すれば1週間に28時間までは働くことができます。ただし、この時間を超えて働くと入管法違反になりますので、招聘した日本の機関などはしっかり監督してください。万が一入管法違反が発覚すると、今後その日本機関が招聘する外国人のビザの発給は難しくなります。

料金

在留資格「文化活動」 120,000円~(消費税別)